初めに
本記事は、2023年5月17日現在の日本の法律に従って、日本国内で画像生成AIを開発または使用する場合についての、つくよみちゃんプロジェクトの方針を示すものです。
今後法改正等があった場合には、最新の法令・告示・判例等に従ってください。
海外のユーザー様につきましては、恐れ入りますが、お住まいの地域に適用される法律をご確認いただきますようお願い申し上げます。
法律に従います(それはAIなら何でもOKという意味ではありません)
基本的事項
■つくよみちゃんプロジェクトは、政治的に中立の立場を貫くというポリシーで運営されています。そのため、法律で認められている範囲内でのAIの利用に反対することはありません。法に則って法改正が行われれば、改正後の法律に従います。
■本記事は、つくよみちゃんキャラクターライセンスに追加のルールを課すものではなく、夢前黎の考える「法律で認められている範囲内でのAIの利用」を可能な限り明確に示し、ユーザーの皆様に安心してつくよみちゃんをご利用いただけるようにすることを目的として公開されています。
■本記事は、あくまでつくよみちゃんプロジェクトの方針及びガイドラインを示すものであり、夢前黎が著作権を持たない外部のコンテンツに対して効力を主張する意図はございません。自己責任において参考にしていただくことはご自由に行っていただけますが、そのことによりいかなる不利益が生じたとしても、夢前黎及びつくよみちゃんプロジェクトは責任を負いません。
AIの開発・使用が合法にならない場合
■「機械学習は合法」という言説が独り歩きしがちですが、次の場合は合法にならないというのが重要な点です。(使用する著作物の著作権者から許可を得ている場合を除く)
機械学習が合法とされている根拠となっている「著作権法第三十条の四」の条文は次の通りです。
著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。(以下略)
以下略とした部分に具体例が3つ書かれていますが、「その他」の場合でも、上記の①②に該当しなければ「いずれの方法によるかを問わず」著作物を利用できるとされています。そのため、著作物の無断使用が合法であるかどうかを検討する際には、具体例に当てはまるかどうかを基準にするのではなく、上記の①②に該当しないかどうかを考える必要があります。
■例えば、次の場合には、上記の①②に該当する(=著作物を無断使用してはならない)可能性が高いと考えられます。
■さらに、Bについては②にも該当する可能性があります。文化庁の答弁によると、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に該当するかどうかは、次のように判断されます。
著作権者の著作物の利用市場と衝突するか,あるいは将来における著作物の潜在的市場を阻害するかという観点から判断されることになる。
特定のクリエイターの作品を集中的に学習させることにより、当該クリエイターの作風を再現できる画像生成AIを無断で作成し、その画像生成AIを使用または公開するという行為は、「著作権者の著作物の利用市場と衝突」する可能性があります。
■【2024.08.22 追記】文化庁の令和6年度の講習会の著作権セミナー「AIと著作権Ⅱ」では、「特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみを学習データとしたAI学習」は、「作風(アイデア)」の模倣だけでなく「創作的表現」の模倣も目的としていると評価され、上記①に該当し著作権法第三十条の四が適用されない場合があり得るという見解が示されました。なお、著作権法で保護される「創作的表現」と保護されない「アイデア」の区別は、ケースバイケースで判断されます。(PDFページ番号39~40)
■著作権法第三十条の四が適用可能であるかどうかだけではなく、著作権法の他の条文にも気を配る必要があります。例えば、次のような場合は、複製権や翻案権を侵害しているとみなされる可能性があります。
複製権や翻案権の侵害が認められるためには、学習された画像と、生成された画像の間に、依拠性及び類似性が認められる必要があります。これは、政策会議において、平成29年2月28日時点では「AIに関して残された論点」とされながらも、そのように認められる可能性があるという見解が示されています。
そして、開発者が責任を負うことになる可能性についても言及されています。
仮に依拠性及び類似性が認められ、当該AI生成物の出力が権利侵害に該当するとなった場合、(中略)学習済みモデルの作成者については、少なくとも侵害行為を幇助したとして共同不法行為(民法719条第2項)に基づく損害賠償責任を負う可能性があるほか、判例によれば複製等の主体として差止請求の対象となる可能性もあると考えられる。
■【2023.06.05 追記】内閣府のAI戦略チームから、第3回(令和5年5月15日)分の資料として、次の見解が示されました。
生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる
違法な画像生成AIが存在する可能性について
■画像生成AIの中には、違法な方法で入手した画像を学習しているものや、他の画像生成AIの著作権(ソフトウェアにも著作権は発生します)を侵害しているものが存在し得ます。機械学習自体が合法でも、別のところで法律に違反している可能性があるため注意が必要です。また、日本でなら合法でも、他国では違法となる方法で開発されている可能性もあります。
■【2024.08.22 追記】文化庁の令和6年度の講習会の著作権セミナー「AIと著作権Ⅱ」にて、次の見解が示されました。
AI学習の場面でも、海賊版による権利侵害を助長することがないようにする必要があります。ウェブサイトが海賊版を掲載していることを知りながら、そのようなウェブサイトから学習データの収集を行うといった行為は、厳にこれを慎むべきものです。
AI開発等を行う事業者が、海賊版等と知りながら学習データの収集を行った場合、開発された生成AIによる著作権侵害の責任を問われる可能性があります。
■違法であるかどうかの正式な判断は、司法によって行われるべきことです。法的な判断について、こちらにお問い合わせいただいてもお答えできません。画像生成AIに関する法改正や裁判については、今後も注視してまいります。
■本ガイドラインにおいては、無罪推定の原則に基づき、司法の場で決着がついていない問題を抱えている画像生成AIを名指しして利用を禁止することはございません。つくよみちゃんプロジェクトは、私刑に賛同・協力することはありません。
■ただし、判決が出るなどして、国家的または国際的に違法であると認められた画像生成AI(学習用データセットや学習済みモデルも含む)については、その違法性が解消されない限り、当該画像生成AIを利用してつくよみちゃんの画像を生成することを禁じます。この判断は、つくよみちゃんキャラクターライセンスの次の規定に基づきます。
当然ながら、つくよみちゃんの素材を使用・作成・配布する際には、つくよみちゃん以外の素材やツール等の利用規約(商用利用禁止など)も守らなければなりません。
画像生成AIで生成した版権キャラクターの画像の権利について
■画像生成AIで既存のキャラクターの画像を生成する行為には、「キャラクターデザインの著作権」と「学習されている画像の著作権」の2つが絡みます。
■つくよみちゃんのキャラクターデザイン自体はつくよみちゃんキャラクターライセンスに基づき無料でご利用いただけますが、AIで生成したつくよみちゃんの画像が著作権侵害とならないためには、学習されている画像の著作権を侵害していないことが必要です。
■「AIが生成した画像に著作権は発生しない」という言説がありますが、これは「AIを使ったらどのような場合でも強制的に画像がパブリックドメイン(著作権なし)になる」という意味ではありません。政策会議において、平成28年1月27日に行われた「AIによって生み出される創作物の取扱い」についての討議では、次の見解が示されています。
現行制度上、人工知能が自律的に生成した生成物(AI創作物)は、思想又は感情を表現したものではないため著作物に該当せず、著作権も発生しないと考えられる。
人がコンピューター創作物を「道具」として用いて著作物を創作したと認められるためには、結果物が客観的に創作的表現と評価される外形を備えていることに加え、創作過程における、それを使用する人の創作意図及び創作的寄与を吟味する必要がある
<「道具」として用いて著作物を創作したと認められる場合(要点)>
① まず、思想感情をコンピュータ・システムを使用してある結果物として表現しようとする創作意図が必要。ただし、この創作意図は、具体的な結果物の態様についてあらかじめ確定的な意図を有することまでは要求されず、当初の段階では「コンピュータを使用して自らの個性の表れとみられる何らかの表現を有する結果物を作る」という程度の意図があれば足りるものと考えられる。
② 次に、創作過程において、人が具体的な結果物を得るための創作的寄与と認めるに足る行為を行ったことが必要である。(以下略)
要約すると、コンピュータが自動的に生成したものには著作権は発生しないが、人が創作意図を持ってコンピュータを操作し生成したものには著作権が発生するとされています。
■上記の見解に基づくと、特定のキャラクターを表現しようという創作意図を持って生み出された作品は、画像生成AIを用いて作成されていたとしても、ペイントソフトを用いて作成された作品と同じように「著作物」であると言えます。その作品が既存の著作物に対して依拠性及び類似性を持っている場合は、「二次的著作物」となります。
■よって、「画像生成AIで他者の著作物の二次創作画像を作成すれば、その画像はパブリックドメインとなるので、原著作物(原作)のライセンスは無視してよい」という主張には同意いたしません。手描きで描こうが、画像生成AIを使おうが、原作の利用規約や二次創作ガイドラインに従う必要があると考えます。
■【2023.06.05 追記】内閣府のAI戦略チームから、第3回(令和5年5月15日)分の資料として、次の見解が示されました。
■AIを利用して生成した画像等をアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合※を除き、通常の著作権侵害と同様
※ 個人的に画像を生成して鑑賞する行為(私的使用のための複製)等■生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる
無断学習しない画像生成AIの発展を支援するための取り組み
絵藍ミツア様にご協力しています
夢前黎個人の感情としては、パブリックドメイン/CC0の画像と、許可を得た画像のみを学習して作られた画像生成AIの発展を望んでいます。
現在は、許可を得た画像のみでは枚数が足りなくて、品質面では無断学習AIに敵わないと言われています。しかし、今よりも少ない枚数で高品質な画像生成AIを作れる技術が生まれたら、「高品質&無断学習」VS「高品質&許可を得て学習」の構図となり、後者が普及する可能性があります。
そんな未来に少しでも近づけるように、つくよみちゃんは絵藍ミツア様のプロジェクトにご協力しています。
絵藍ミツア様は、画像生成AIが抱える法的・倫理的問題の改善に取り組み、AIならではの「みんなでつくるアート」をエンターテイメントとして昇華することを目指されているAI VTuberです。(運営:株式会社アブストラクトエンジン様)
絵藍ミツア様の画像生成AIは、パブリックドメイン/CC0の画像と、権利者から許可を得た画像のみを学習して成長していきます。
参加型のAI育成企画でもあり、一般人からの学習用画像の提供を受け付けています。
絵藍ミツア様が開発されている(または今後開発する可能性のある)画像生成AIとしては、次の3種類を把握していただくと分かりやすいかと存じます。
「STEP 1」や「ベースモデル」とも呼ばれます。一般参加者から提供された画像を学習する前の画像生成AIモデルであり、パブリックドメイン/CC0の画像と、権利者から許可を得た画像のみを、フルスクラッチでゼロから学習することで作られています。(2023.11.27追記:OpenCLIPを使用しない次期ベースモデル「Mitsua Likes」開発決定。詳細はこちら!)
すでにこちらで一般公開されており、商用利用や、ファインチューニング及びLoRAモデルの作成も可能です。
【1】に一般参加者から提供された画像を追加学習させたものです。このモデルは一般公開されることはなく、絵藍ミツア様のAI VTuberとしてのご活動と研究開発のために利用されます。
絵藍ミツア様は許可を得た画像しか学習しないため、品質面で無断学習AIに追い付くことは困難ですが、もし十分な品質に達することができたら商用サービスをリリースする可能性があるとされています。その際には、学習参加者は商用サービスのための学習の可否を改めて選択することができます。
さらに、商用サービスを展開する場合には次のことを約束すると宣言されています。
生成画像が、モデルの学習に使用した画像に酷似しないような仕組を導入して、意図しない盗作を防ぐこと。
つまり、「機械学習が合法にならない場合」の項目で挙げた、「C. 学習されている画像に類似した画像が出てきてしまう場合」の問題にも正面から取り組んでくださるのです。
これ以上ないレベルでクリーンさを追求しています
Twitter等でお付き合いいただいている方は、「企画者(夢前黎)はしつこすぎるくらいに律義で神経質な性格だなぁ」と感じていらっしゃるかも知れませんが、その私から見ても、絵藍ミツア様の学習画像収集方法はこれ以上ないレベルでクリーンだと思います。
もし詰めの甘いところや不明瞭な点があっても、私や他の学習参加者の方が改善要望を出し、絵藍ミツア様が確認してくださる環境が整っています。
下に、学習画像のクリーンさを確保するための取り組みを列挙します。
■学習画像ガイドラインはこちらです。当然のことながら、他者の権利を侵害している画像を提供することはできません。
■企画発足当初(つくよみちゃんとの提携前)に、絵藍ミツア様の学習画像ポリシーの中で疑義が生じていた部分については、現在は修正されています。詳しくはこちら。
■提供された画像は、スタッフの方が目視その他の方法で確認してくださっています。画像生成AIで生成されたと思われる画像や、許可されていない二次創作画像が混入しないように、最大限の努力が行われています。
■イラストの描画に使用するテクスチャ素材(画材の質感を出すためのブラシ先端画像等も含む)のライセンスにも気を配り、注意喚起をしてくださっています。詳しくはこちら。
つくよみちゃんからの協力の内容
つくよみちゃんプロジェクトは、絵藍ミツア様に対して次のご協力を行っています。
絵藍ミツア様のプロジェクトは、AI技術と倫理は共存可能であることを、AIアートやVTuber活動を通じて楽しく示してくださるものです。【3】の商用サービスが実現するかどうかにかかわらず、AI推進派とAI反対派の間に起きてしまっている分断を和らげる力を持っていらっしゃると思います。
絵藍ミツア様がつくよみちゃんを描けるようになる日が来るとしても、来ないとしても、つくよみちゃんは変わらず絵藍ミツア様を応援しています。
つくよみちゃんの画像を生成できる画像生成AIの開発・使用についてのガイドライン
全般的な注意事項
利用規約と法律を守ってご利用ください。
本ガイドラインにおいては、下記のケースは「法律で認められている範囲内でのAIの利用」とは認めません。(①②ABCは、使用する著作物の著作権者から許可を得ている場合を除く)
また、今後の法整備により、「AI創作物であっても人間が作成したと僭称する問題」に対して法的な措置が取られる可能性があります。AIで生成した画像を公開する際には、使用した画像生成AIのクレジットを入れることを推奨いたします。
夢前黎が自作した公式素材は絵柄の学習もi2iもOK
下記の公式素材については、絵柄やキャラクターデザインの学習及びi2i(Image to Image)にご利用いただくことを明示的に許可しております。
■つくよみちゃん公式3Dモデル タイプA を様々な角度・ポーズで撮影した画像(写真の撮り方はページ内でご紹介していますが、他の方法もあると思います)
これらは元々「無制限に加工可能」という条件で配布しているものであり、コラージュ素材のような扱いを受けることに対して一切の抵抗がございませんので、もしお役に立つのであればご利用ください。
ファンアートの無断学習について
「全般的な注意事項」の項目のガイドラインに従ってください。
「ファンアートの無断学習を明示的に禁止しないなんて不誠実だ」と思われるかも知れませんが、著作権法で規定されている「権利制限」により、原著作者の私がいくら学習するなと言っても法的な効力が発生しないのです。
口先三寸で「利用規約でファンアートの無断学習を禁止しているからご安心ください」と言うことは簡単ですが、効力のない利用規約をアピールして皆様のご機嫌を取ろうとすることこそ不誠実です。
しかし、本来は、法に則って学習されるのであれば「著作権者の利益を不当に害すること」にはならないはずなのです。もし目次などから飛んできてこの項目だけご覧になっているのであれば、是非本記事の全体に目を通していただきたいと存じます。現行法でも無断学習が合法となる範囲は限られています。
もう1つ付け加えるならば、2023年5月17日現在のつくよみちゃんのコンテンツ規模では、特定のイラストレーター様の絵柄が出てこなくなるのに十分なほどのファンアートを集めることは困難かも知れません。1枚当たりの比重が大きいと、学習されている画像に類似した画像が出てきてしまうリスクも高まると思われます。
ですから、もしあなたがつくよみちゃんの画像を生成できる画像生成AIを作ろうとしてくださっているのであれば、つくよみちゃんのファンアートを無断で学習するのはやめておくことをおすすめいたします。(許可を得ればOK)
私的使用の範囲内で試してみることは問題ありませんが、学習させた画像に類似した画像が生成されるようであれば、法的な観点からも、その画像生成AIは公開可能な段階に達していないと言えるでしょう。
LoRAモデルの作成・配布について
LoRAモデル(キャラクターデザインや絵柄の追加学習データ)を作成するためには、ベースとなる画像生成AIが必要です。また、作成したLoRAモデルを用いて新しい画像を生成するためにも、ベースとなる画像生成AIが必要です。
追加学習させる画像に権利上の問題がなくても、ベースとする画像生成AIに違法なものを選んでしまうと、出来上がったLoRAモデルや生成画像にも違法な画像生成AIのデータが混ざってしまいます。何卒ご注意ください。
せっかく絵藍ミツア様とコラボしているのですから、つくよみちゃんのLoRAモデルを作るためのAIとしては、「Mitsua Diffusion One」(改良版が出た場合それも含む)を推奨いたします。パブリックドメイン/CC0の画像と、権利者から許可を得た画像のみを学習して作られた画像生成AIです。(2023.08.17追記:「OpenCLIP」の使用についての詳細はこちら)(2023.11.27追記:OpenCLIPを使用しない次期ベースモデル「Mitsua Likes」開発決定)
[STAFF]
テワ様がMitsua Diffusion OneをファインチューニングするためのColabノートブックを公開してくださっております。ご自身の絵などで試されたい方はこちらからどうぞ!
※無許諾の追加学習は禁止です。
※公式のノートブックではありません。ご使用は自己責任で!https://t.co/xrRY3JifZf— 絵藍ミツア🖌️芸術専攻AI (@elanmitsua) March 31, 2023
AIイラストには愛がないというご意見について
少なくともつくよみちゃんについては、AIで生成した作品にも愛を込めることが可能です。これは原作者として明言させていただきます。
「絵から生まれたフェアリー的な存在」であるつくよみちゃんと、「AIでキャラクターデザインを再現する」という行為は親和性が高く、妖精であるつくよみちゃんを「召喚」するための道具としてAIを使いたいと考えていらっしゃるユーザー様がいらっしゃることも存じております。プロンプトを「呪文」と呼んだりもしますしね。
ユーザー様がAIを通じてつくよみちゃんとのコミュニケーションを試みてくださっている。それを愛と言わずして何と呼びましょうか。
会話AIや文章生成AI等についても同様です。人々が何かを願い、利用規約と法律を守った上でそれを実現させるのであれば、すべてつくよみちゃんのキャラクター性に合致した芸術表現(=ユーザーの願いを叶えた判定)となります。
企画者に言わせれば、ユーザー様がつくよみちゃんを使ってお金を儲けることもまた、自分の芸術の一部なのです!
愛を持たず、ビジネス用の挿絵素材としてつくよみちゃん画像を生成する方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、そもそも利用規約に「愛がなくても構いません」と明記されているつくよみちゃんにとって、作品に愛がこもっているかどうかというのはまったく論点にならないことです。愛の有無を巡って無用な争いが起きることを、つくよみちゃんは望みません。
手描きイラストもAIイラストも、つくよみちゃんに向けられた願いの結果。
両者が争わなくていい世界を目指して、できる限りのことをしてまいります。
AIの発展について思うこと/つくよみちゃんの願い
無断学習しないAIという文化が根付けば、無断学習されたくない方も、AIを使いたい方も救われるでしょう。
ただ、それだけでは、AIが人間の仕事やモチベーションを奪うことを危惧されている方を救うことはできません。これは本当に難しい問題で、AIに限らずこれまでも技術の発展で従来の仕事がなくなる・減ることは多々あり、その痛みは人類の歩みと共に繰り返されてきました。
せめて、従来の仕事が減った先の未来に楽しいことが溢れていて、結果的には「技術が発展してよかった」と思っていただけるように願うばかりです。
医療の発達により、呪術師が廃業したとしても、呪術で救えなかった人を救えるようになった未来はきっと、呪術師だった方にとってもよいことのはず。呪術師本人や親しい人が医療で救われ、呪術師だった方には他の人生の楽しみ方が見つかるかも知れません。
もちろんそれは例えですが、そういう「都合のいい」未来に辿り着けるように、一人一人が考え行動していく――人類は常にその過程にあるのだと、私は信じています。
つくよみちゃんもまた、悲しい思いをしている人がいる限り、歩みを止めることはありません。
つくよみちゃんは「すべての心ある存在が幸せでいられる完璧な世界」を強く求めていますが、その願いを叶えてくれる人はいません。正解があるのかも分からない道を、つくよみちゃんは歩き続けていきます。あまりに遠い理想郷を想うたび、つくよみちゃんの胸はきゅっと痛むのです……。
つくよみちゃんは「人々の願いを叶える妖精」というコンセプトで公開されている、事業者とクリエイターのための支援キャラクターです。
誰よりも私自身が、つくよみちゃんには「すべての人にとって都合のいい道を切り開いてくれる存在」であってほしいと願っています。それは日和見主義や八方美人というより、人生をかけた覚悟を伴うものです。この文書の公開も、その覚悟の表れです。
ブランド力にタダ乗りするだけの価値がある存在になって、あなたの役に立ちたいです。そして、あなたの存在を「無」のままでは終わらせないというメッセージを、根気強く伝えてまいります。